シリコーンゴムの接着を特殊加工でより強固に密着させる技術
シリコーンゴムは接着させるのが非常にむずかしい難接着な性質です。私たちの会社では市販の接着では出せない強固で強靱な接着が可能になります。他社にはない特殊技術と接着剤のノウハウを駆使してシリコーンゴムの接着を実現しております。
シリコーンゴムの接着とは?
シリコーンには「非接着」「難接着」と呼ばれる特性があり、工業用ではテープ類のセパレータ(剥離紙)表面にコーティングされテープの粘着材の剥離を容易にするために使用されています。また髪の毛が乾燥などでまとわりつかないようにシャンプーリンスなどにシリコーンが配合されています。
シリコーンゴムも接着や粘着が困難で、接着剤やガムテープ、両面テープなどが非常に着きづらい性質です。貼り付けはできず容易に剥がれます。接着にはシリコーンゴム専用の接着剤や両面テープが必要になります。
近年、シリコーンゴムを始めとする「難接着」素材にも、接着が可能な接着剤、両面テープなどが販売されています。企業様および個人のユーザー様でもホームセンターなどで入手でき、シリコーンゴムの接着加工はできるようになっております。
私たちの会社では特殊なシリコーンゴム加工技術により、市販の接着剤や両面テープでは得られない強度を増したシリコーンゴム加工メーカーらしい、市販の接着剤を使用する場合とは違った強固で強靱な接着技術を紹介します。
【特殊技術】シリコーンゴムの表面改質処理・プライマー処理
私たちの会社ではシリコーンゴム表面を改質処理して接着を可能にできます。更にシリコーンゴムに適したプライマー処理技術を用いて さらなる接着強度を増すことも可能です。
シリコーンゴムに表面改質処理を行っても見た目の変化はありません。水をスプレーすることで改質処理が完了していることが確認ができます。シリコーンゴム表面に対する液体の親和性(付着しやすさ)の状態です。”ぬれ性”とも言い、見た目でわからない表面状態を確認してから接着作業を行っております。
基材(シリコーンゴム)表面の組成や構造をイオンや熱エネルギー等によって変化させる処理をいい、私たちの会社では主にイトロ処理・コロナ処理を用いてシリコーンゴムの表面改質を行っています。
シリコーンゴムへのイトロ処理
イトロ処理とは、炎を形成するため燃料ガス中にシラン化合物等を混合して燃やし、その炎を用いてシリコーンゴム表面にフレーム処理を施し焼き付けます。主にSiO2を構成成分とするナノレベルの粒子が、シリコーンゴム表面に多数形成され、炎による酸化反応と共に、シリコーンゴム表面を改質します。改質することによりシリコーンゴムと接着剤との密着性を大幅に向上させることが可能な表面処理方法です。
シリコーンゴムへのコロナ処理
シリコーンゴムの表面にコロナ放電照射することで、粘着性・印刷特性・防曇性・摩擦性の多機能を持たせることが出来ます。高周波電源装置から発振された高周波・高電圧が処理ステーションの電極~処理ロール間に印加されるとコロナ放電が生じます。
コロナ放電の高エネルギーの電子は、放電下を通過するシリコーンゴムの表面層に達し、高分子結合の主鎖や側鎖を切り離す作用が働きます。切断された高分子表層は科学的にラジカルな状態となります。その不安定な状態で接着剤や両面テープ、プライマーを再結合することで、親水性が生まれ接着される技術です。
シリコーンゴムへのプライマー処理
プライマーはシリコーンゴム表面に塗布する有機溶剤系の液体で、プライマー液で下塗りを施すことによりシリコーンゴムとの接着を繋げるバインダーの役目を果たします。お互いの間に存在することで接着性を向上させることができます。イトロ処理やコロナ処理の表面改質との組み合わせにより、接着力の強度がさらに強固な状態になり確実なものとなります。
私たちの会社が使うシリコーンゴムの接着剤
イトロ処理やコロナ処理とプライマー処理を駆使したシリコーンゴムの接着剤は申し訳ありませんが私たちの会社の独自技術ノウハウのため開示しておりません。また「接着剤」の販売はしておりません。
特徴
手塗りはもちろん、ディスペンサー使用により安定した塗布が可能です。接着剤自体にゴムと同じ弾性特性を所持しているため、シリコーンゴムを伸ばした際の追従性にも優れており、且つ耐熱性・耐寒性も持ち合わせています。
- セメダイン スーパーX
- セメダイン PPX
- コニシ スーパー多用途
- 信越シリコーン KE45T
など
・シリコーンゴムとの接着に使用する「接着剤」は販売しておりません
・ホームセンターなどで気軽に購入できるシリコーン用接着剤のご紹介です
・当社の工程内では使用しておりません
食品衛生法
食品衛生法に適合した接着剤を使用しております。ご要望により第3者分析機関による証明書を発行いたします。有償になりますのでご了承ください。
環境資料
私たちの会社が使用するシリコーンゴム用接着剤は、Rohs2規制対応品です。現時点で規制されている環境負荷物質は含まれておりません。SDS、Rohs2不使用証明書等の発行は可能です。
物性データ
特徴 | 非腐食性 、 ファーストタックフリー |
難燃性 | 94HB相当 (UL非取得) |
耐熱温度 | 200℃ |
色調 | クリアー |
硬化時間 | 24時間(厚み3mm/25℃/50%RH) |
硬化後の特性 | 引っ張りせん断接着強度(N/cm2)139/GL |
絶縁破壊強さ(kV/mm)23 | |
体積抵抗率(Ω・cm)6×10の15乗 |
デメリット
接着ですので、一般的に焼付・溶接・溶着と比較してしまうと、接着力(密着力)は低下してしまいます。また、接着力は接着面の面積に比例しますので、接着面積によって対応の可否や接着の強度がわかれます。
私たちの会社の接着加工は量産ラインにおいても完全自動化はしておらず、一部で手作業の工程が存在するためコストが高くなってしまう場合がございます。
シリコーンゴムとの接着可能な素材と実績
金属素材 | アルミニウム | ○ |
ステンレスSUS304 | ○ | |
軟鉄 | ○ | |
マグネシウム | ○ | |
真鍮 | ○ | |
亜鉛 | ○ | |
チタン | ○ | |
銅 | ○ | |
樹脂・繊維素材 | PC | ○ |
ABS | ○ | |
塩ビ | ○ | |
アクリル | ○ | |
POM | ○ | |
PET | ○ | |
PBT | ○ | |
6ナイロン | ○ | |
66ナイロン | ○ | |
PP | △ | |
PTFE・PFA | × | |
ガラス | ○ | |
シリコーンゴム | ○ |
適合素材でもメーカーやグレード、仕様によっては、接着異常の不具合が生じる可能性がありますので、実際の選定には事前にプレート等で接着性の評価が必要になります。
私たちの会社が対応可能な接着加工
- サイズ範囲 150mm以上~400mm以下
- 厚み 1mm厚み以上
- 硬度 50°以上
- 圧着するため平らな表面状態同士
- 接着面が強度を担保できる接着面積が必要
- はみ出した接着剤を除去するため意匠性に寛容なこと
私たちの会社が対応できない接着加工
- シリコーンチューブや円筒形状は内部にはみ出した接着剤を除去できない
- 接着面の強度を担保できない接着面積の場合
- 曲面や凸凹のワーク(専用治具を作成することで可)
- 難接着素材
- 接着面が稼動(運動)して常に負荷がかかる場合
- 低硬度シリコーンゴムとの接着
支給品への接着について
私たちの会社で製作したシリコーンゴムと支給部材(シリコーンゴム以外の素材品)に限り、接着加工のご対応をさせていただきます。支給品は基本的に無償支給対応となります。シリコーンゴム自体が支給品の場合はご対応しておりませんので、ご了承ください。
シリコーンゴム接着のよくある質問Q&A
接着剤の耐熱はどれぐらいありますか?
接着層の厚みはどれぐらいになりますか?
接着剤に低分子シロキサンは含有していますか?
色つきの接着剤はありますか?
基本条件サイズ範囲150㎜~400㎜より小さいサイズ品の接着は可能ですか?また接着後、抜き仕上げが出来ない形状品等の接着はできますか?
条件により可能となります。10㎜前後の小サイズ部品、抜き仕上げができない形状や完成品同士の接着でも工業用の特殊な瞬間接着剤を使用した接着が可能です。但し、接着面に対して全面ではなく、数カ所のポイント接着となるため、事前に接着強度の評価が必要になりますので、予めご了承願います。
例:シリコーン製のベース成型品と印刷や塗装済みの樹脂製キートップとの接着など
図面等ございましたら検討させて頂きますのでご相談ください。
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