シリコーンゴム成形品のバリ仕上げ治具

シリコーンゴムに限らず、多くのゴム成形品は成形時にバリが発生します。これは、金型内で投入した生のゴム材料の偏りによるショートモールドの発生や、材料の融合箇所がウエルド線のキズが生じること防止するため、いわば意図的に材料をあふれさせる設計をしますので、成形後にはバリが発生し、そのバリを除去する「仕上げ」を行わなければなりません。

仕上げ治具を使用するメリット

ゴム製品のバリ取りは、一般的には手でバリをむしり取る方法になります。手で容易に仕上げられる様に、金型の製品外の箇所に喰い切りと呼ばれる溝を設けることで、バリ部分のゴムと製品部分のゴムが容易に切り離し出来る様に設計しておりますが製品形状や製品サイズ、ゴム硬度によってバリが製品側に残ってしまう現象或いは、製品部分まで引っ張ってしまい、製品が【欠け・エグレ・切れ】などの現象の不具合を誘発させてしまうことがあります。

そのような製品は、バリ仕上げ治具を用いてバリを抜き仕上げする事で、バリの残りも少ない高品質の製品の生産に寄与することができます。

また、治具の仕様・規模によっては1度のショットで複数個を同時に仕上げることもできますので、仕上げ時間の短縮になることから、特にロットの大きい商材では、商材生産量のUPや製品単価の低減にも大きく貢献します。

ゴム製品の仕上げ治具の構造と具体例

ゴム成形時に、オーバーフローした材料(バリ)が、製品と繋がったシート状態で脱型するようにし、そのシート状態のまま、エアープレス又はハンドプレスに取り付けた仕上げ治具にセットします。その治具をプレスすることで製品とバリが切り離され、製品のみ又はバリのみが治具の下に落ちるという構造になっています。

 

ハンドプレス エアープレス

エアープレス(引き出し)

治具写真
未仕上げ(製品) セット
プレス 出来栄え

仕上げ治具は、精度(綺麗)や時間短縮できるメリットが非常に大きいのですが一般的な硬度40°~70°に比べ、10°や20°などの低硬度は貼り付き(ベタ付)が御座います。

低硬度の製品でもバリを仕上げる事は出来ますが、切り離したバリが治具に貼り付き毎ショット、バリを除去しなくては次の作業に移れない事が生じます。

その様な製品の時には、治具や抜きピン先端の接地面に、ブラスト処理を施します。治具の表面やピンの接地面に、ブラスト処理を施す事により凹凸が生まれ、接地面積を低減させる事で治具離れを良くします。

ブラスト無し 治具 ブラスト無し (バリが張り付く写真)
ブラスト有り 治具 ブラスト有り (バリ貼りが落ちる写真)

仕上げ治具は、初めにイニシャル費用を要してしまいますが、ゴム成形品に避けて通れない、パーティングラインの「バリ残り」に対して、安定した品質を維持できますので、結果的にお客様の厳しい品質要求にもお応えすることが可能です。

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