プラチナシリコーンゴムは白金を触媒として不純物の少ない成形品を作成します

プラチナシリコーンゴム

シリコーンゴム独特な “におい” が気になる方もいらっしゃると思います。

シリコーンゴムはキッチン用品や衛生用品などに幅広く使われており、“におい”に対する対策も求められています。実は多くの“におい”の原因はシリコーンゴム自体ではなく、硬化剤(触媒)だったのです。無臭であることはもちろん、物性的にも安心・安全なプラチナシリコーンゴムを紹介します。

プラチナシリコーンゴムとは?

プラチナが原料になったシリコーンゴムではありません。
一般的なシリコーンゴムは固めるために硬化剤(触媒)が必要になります。その硬化剤(触媒)にプラチナ(白金)を使ったシリコーンゴムを プラチナシリコーンゴム と呼んでます。

種類 硬化剤(触媒)
一般的なシリコーンゴム 有機過酸化物
プラチナシリコーンゴム プラチナ(白金)

当社の取り扱うシリコーンゴムは熱硬化型と呼ばれ、材料を金型に投入した後に熱と圧力を加えることにより金型内で化学反応が起こり、シリコーンゴムの分子が結合し架橋(=硬化)します。

その化学反応を引き起こすための硬化剤として、通常のシリコーンゴムの場合は有機過酸化物を使用しますが、プラチナシリコーンゴムとは、硬化剤に白金(プラチナ)化合物を使用した特殊なシリコーンゴムの成形方法になります。

一般的なシリコーンゴムの”におい”の原因はシリコーンゴム自体ではなく、硬化剤で使う 有機過酸化物 だったということになります。”におい”ばかりではなく、引き裂き強度が上がったリ、圧縮永久歪みが小さくなる特徴があります。そもそも安心・安全なシリコーンゴムですが硬化剤に有機過酸化物を使わないことから、更なる安全性を持ち、食品用・医療用・衛生用品などに採用されています。

プラチナシリコーンゴムの特徴

硬化剤に通常の有機過酸化物を使用した一般シリコーンゴムと比較してみました。

一般
シリコーンゴム
プラチナ
シリコーンゴム
硬化剤(架橋触媒) 有機過酸化物 白金化合物
反応 ラジカル反応 付加反応
ゴム硬化温度 155℃~175℃ 110℃~130℃
臭気 有り ほぼ無し
シリコーンゴム特有の臭気
硬化障害 ほぼ発生しない 発生しやすい
材料状態でのライフ 1ヶ月程度 ~1日程度
材料状態での保管 常温 保冷庫保管が必要
反応時の分解生成物 ほぼ無し

プラチナシリコーンゴムの特徴

硬化剤に有機過酸化物を配合する一般シリコーンゴムと比較すると、低温で硬化するため必要な熱量が大幅に異なります。これはプラチナシリコーンゴムの方が熱に対しての化学反応し易いということを表すと同時に、他化合部との混入、接触によって硬化障害を引き起こしやすいということになります。

他化合物とは主に硫黄、リン、窒素、スズなどの化合物などがそれにあたり、混入、接触をするとその部分の硬化が進まなかったり、ベタつき現象が起きてしまう事がある。

また、化学反応のし易さから、有機過酸化物と比べて、材料としてのポットライフが短いのも特徴の一つで材料練りから成形までの時間の制約があり 取り回しも非常に難しい材料でもあります。

技術と経験がないと取り扱えない材料ともいえます。

ポイント

  • 硬化剤が白金触媒(プラチナ)
  • 加硫硬化温度が120℃前後と低い
  • においがほとんど無い
  • 加硫阻害が起きやすく成形するのが難しい
  • 硬化剤を混ぜたあとのポットライフが非常に短い
  • 成形後のアウトガスがほぼ無く、極めて安全

プラチナシリコーンゴムの用途と実用例

医療関連向けのシリコーンゴム製品

医療関連のシリコーンゴム商材の中で、人体に直接触れる又は血液・体液・薬液等がゴムに触れた後に体内に接触する場合、そのシリコーンゴム製品の多くは硬化剤に白金化合物を使用しています。角度を変えた見方をすれば、メディカルグレードのシリコーンゴムはプラチナシリコーンゴムの一つと言っても過言ではありません。

プラチナシリコーンゴムリハビリ器具
リハビリ器具
ネイサルチューブ
ネイサルチューブ
マウスガイドベッド
マウスガイドベッド
プラチナシリコーンゴム注射針パッキン
注射針パッキン

食品関連・衛生商品向けのシリコーンゴム製品

一般シリコーンゴムを使用した場合でも、安全性に違いはないので食品衛生法には適合するのですが、特有の“におい”が生じるため、臭気を気にする環境下では使用を敬遠したり、事前に相当量の煮沸処理をした後に使用するケースがあるようです。

プラチナシリコーンゴムでは、安全性に加え臭気もないことから食品・衛生関連の商材への採用も多いというのが特徴の一つになります。

プラチナシリコーンゴム
シリコーンスチーマー
プラチナシリコーンゴムチョコ型
チョコレート型
プラチナシリコーンゴム乳首
シリコーン乳首
プラチナシリコーン仕切り
お弁当仕切り

低温でシリコーンゴムを成形させたい商材

PCやナイロン等の硬質樹脂とシリコーンゴムをインサート成形により一体化させる製法の場合、そのシリコーンゴムにプラチナシリコーンゴムを選定することは必須で、ゴムの硬化温度を低く設定できることから、ゴム金型にインサートした硬質樹脂の耐熱性を維持することができるために成立する一体成形製法になります。

プラチナシリコーンゴムキャップ
エンドキャップ
プラチナシリコーンゴム赤ちゃん歯ブラシ
赤ちゃん歯ブラシ
プラチナシリコーン電源カバーパッキン
電源カバーパッキン
プラチナシリコーンゴムバッテリーパッキン
バッテリーカバーパッキン

環境資料の提出について

プラチナシリコーンゴムはシリコーンゴムコンパウンドは国内有名メーカー純正品ですが、白金化合物を始めとする添加剤等の配合内容は当社オリジナルとなりますので、当社発行の資料をご提出させていただきます。(一部有償又はご対応できない場合もございます)

SDS コンパウンド・添加剤単体でのご提供となります。(配合した状態でのご対応は不可)
食品衛生法証明書 原則、全て有償での対応となります。
物性データシート ご提供可能な配合と不可能な配合がございますので、担当までご相談ください。
ROHS2対応 全て対応しておりますので、必要に応じて不使用証明書を発行いたします。なお、ICPデータにつきましては、有償でのご対応となります。

プラチナシリコーンゴムの よくある質問Q&A

プラチナシリコーンゴムを使いたいが、何かデメリットはありますか?

一番懸念されるのはコストです。プラチナシリコーンゴムは化学反応が早いという非常にデリケートな材料になります。材料の寿命も短いことから、材料の管理内容・項目が多くなることと、細心の注意を払っても硬化障害が発生する可能性が高いことから、歩留まりも低くなりそれらは全てコストに反映されることになりますので、一般シリコーンゴムよりも価格が大なり小なり割高になってしまいます。

シリコーンゴムのどの硬度、特殊グレードでプラチナシリコーン化はできますか?

あいにくですが、硬度や特殊グレードと白金化合物との相性が生じます。対応可能なゴム硬度としては30°~80°までとなります。高引き裂きシリコーンゴムや高伸長シリコーンゴム等の特殊なグレードでの可否に関しては、担当までお問い合わせください。(実績ないものは即答できないことがあります)

プラチナシリコーンゴムに着色は可能ですが?

基本、着色は可能ですが選定する顔料や投入量によっては硬化障害を発生させやすくなる可能性がありますのでご希望の色調に対して、制限や若干異なる色調でのご提示をする場合がございます。実際に調色作業を行ってからの判断になりますので、予めご了承願います。

お問い合わせ

プラチナシリコーンゴムに関してのお問い合わせ

 

他にこんな記事が読まれています

おすすめ記事

シリコーンゴムは熱に強く、耐久性や化学的安定性が良いことから、特に人体に対して安心安全を求められる商品や現場で求められています。当社取り扱いのシリコーンゴムの多くは食品衛生法適合品であり、知見や実績からお客様の要求にお応えしております。 […]

食品衛生法適合シリコーンゴム
おすすめ記事

当社では「医療用メディカルグレード」と呼ばれる一般的な工業用とは異なる特殊なグレードのシリコーンゴムの取り扱いがございます。本グレードのシリコーンゴムは医療用途という性質上、お客様における加工品の使用用途等をご開示いただき、それを材料メーカ[…]

医療用メディカルグレードシリコーンゴム
おすすめ記事

異素材とシリコーンゴムとの一体成形品とは、樹脂パーツや金属パーツを金型にインサートしてシリコーンゴムを流し込むことで強固に密着し一体化させる手法です。 シリコーンゴム自体の多色成形品とは、シリコーンゴムの色調や硬度をあと接着ではなく […]

樹脂・金属との一体成形品と多色成形品