シリコーンゴムの黄変要因と黄変対策材料の提案
シリコーンゴムは安全性、加工性、着色が容易なことから、さまざまなデザイン性を演出できる非常に優れた素材ですが長年の使用で外観表面が「変色」するという現象が現れることがあります。一般的には「黄変」と呼ばれ、特に半透明や白色の色調時に黄色く変色してしまう現象です。
黄変が発生する要因
素材的な要因
シリコーンゴム原料そのものが黄変することはありません。
主な原因としては、加硫剤と呼ばれるゴムを硬化させるために配合する薬品が変化することで発生する場合、及びシリコーンゴムコンパウンド内の不純物や添加物が反応して変化することで発生します。
この変化は特に熱や紫外線、経年変化等によって引き起こすと考えられています。
外的要因
シリコーンゴムは多孔質といって、分子間の隙間が大きい素材です。
故に、例えば近傍のプラスチック、石油化学系の合成ゴム、人脂、潤滑油、たばこの煙、シリコーンゴムに配合してある各種薬品、ガス等を吸着してしまうことで黄変することがあります。
「品質は良くて当たり前」顧客からはそう言われていますし、当社もそう認識しており品質維持は最優先に取り組んでおります。 当社はシリコーンゴムの持つ特性をよく理解しているからこそ、モノ造りの課程で生じる障害や難題を最短で解決することができ[…]
黄変の影響
やはり、意匠面(見た目)に決して良いものではありませんが、シリコーンゴムの宿命でもある黄変。
この現象を完全に防止することは実質不可能と言われてます。しかし、シリコーンゴムが持つ各特性(伸びや歪み等の物理特性や耐熱・耐寒の熱特性、絶縁性の電気特性等々)については、ほとんど影響がなく変化はありません。
(一部、外的要因での吸着物質が著しく大量に吸着した場合はその限りではありません)
黄変の対策
黄変を完全に防止することはできませんが、できる限り低減させることは可能な場合もあります。
保管
基本、冷暗所での保管が好ましいとされています。
紫外線を遮断し、常温以下の環境であれば黄変の進行を遅くすることが可能です。
黄変防止グレード
一般シリコーンゴムと比較して、黄変が発生しずらいグレードというのが存在します。
本グレードは、加硫剤を含めた添加物を一般グレードとは異なるものを使用したグレードで、硬度は50°~80°まで(10°刻み)のラインナップとなります。
しかし、黄変防止グレードではあるものの、黄変を完全に防止することはできません。また、黄変防止の程度、レベルは数値化できませんのでご紹介できませんので、予めご了承ください。
硬度 | A | 50 | 60 | 70 | 80 |
色調 | – | 半透明(乳白) | 半透明(乳白) | 半透明(乳白) | 半透明(乳白) |
密度 | g/cm3 | 1.17 | 1.18 | 1.21 | 1.24 |
引張強度 | MPa | 8.2 | 8.3 | 7.8 | 7.4 |
切断時伸び | % | 570 | 430 | 410 | 310 |
引裂強度 | N/mm | 12 | 12 | 21 | 17 |
(クレセント形) | |||||
引裂強度 | N/mm | 25 | 31 | 31 | 26 |
(アングル形) | |||||
圧縮永久歪み※1 | % | 20 | 17 | 22 | 29 |
※本データは代表値であり、規格値・保証値ではありません。
※1 180℃x22h
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黄変したシリコーンゴムは元に戻るのか?
一度黄変してしまったシリコーンゴムですが、黄変の原因が一時的な外的要因(他の素材からの色移行・皮脂・食品からの色移行など)であれば家庭用酸素系漂白剤に浸けておくと元通りに変色が回復します。(一部例外あり)
しかし、劣化を含む素材的な要因(経年による劣化や化学反応による変化)で黄変した場合は、変色が回復する可能性は低く元には戻らないケースが多いです。
黄変は、黄変するまでの時間や黄変する程度(色味)の差はあれど、多くの樹脂素材・ゴム素材で発生してしまう現象です。
一部では黄変防止や難黄変と呼ばれる素材・グレードも存在するので、黄変を嫌がる場合にはそういった素材・グレードを選択するのも一つの方法です。
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